歌姫、健在。マライア・キャリーがビートルズの記録を抜いた。最新シングル「ハートブレイカー」が14曲目の全米1位に輝き、1位を合計60週キープしたという記録は、ビートルズを抜き世界1位だそうだ。
レコード会社社長との離婚は彼女からの希望だったとあって、落ち込みもせず、女優として映画『オール・ザット・グリッターズ』の撮影をスタートさせながら、いつの間にかニューアルバム『RAINBOW』を完成していた。新しい恋人であるラテン界のプリンスと呼ばれるシンガ1、ルイス・ミゲルともハッピーな日々を満喫しているようだし、相変わらず仕事に恋愛に、充実した人生を過ごしている。『RAINBOW』に愛と夢を託したというマライアが、いま感じていることを、ニューヨークでたっぷりと語ってくれた。
取材はいつものように、くつろいで話せるからと、彼女がホテルのべッドに横たわりながらスタートした。
次のアルバムは、マライアが出演する映画『オール・ザット・グリッターズ』(2000年秋公開予定)のサウンドトラックになるかと思ったんですが。
最初はそのつもりだったわ。でも、当初は昨年の秋に撮影が始まる予定だったんだけど、脚本がまだそのときに上がっていなかったのね。そうしたら『ハートブレイカー』とか、気に入った曲ができてしまって、サントラの発売まで待てなくなったの。それだったら先に自分のアルバムを作ってしまおうということになって。映画用の曲はまた別に書いてもいいかな、と思って。
曲作りのアイデアには困らないのですか?
昔の音楽を聴いていてインスアされたり、DJの友人といろいろな音楽を聴いて刺されたり。実際、今回の映画で私が演るのはDJに恋する女性の役なんだけど、クラブが好きでしょっちゅう踊りに行ったり、DJといい音楽を探したり、恋をするかは別として(笑)、実生活と似ている部分があって楽しんで作れるわ。
今回のアルバムはヒップホップ調の曲が多いですよね?
私は9歳のころからヒップホップを聴いているけど、ヒップホップの可能性は無限だわ。たとえば友人のダ・ブラットは言いたいことをヒップホップに乗せて言うことができる。パフ・ダディは昔のR&Bやロックをサンプリングして、ヒップホップ自体を新しいアートの形にしてしまう。どんなタイプの音楽に合わせても、歌ったり、語ったりできるオープンなものなの。私がヒップホップを愛する理由はそこにあるわ。
「マライアのテーマ」とサブタイトルがついた「キャント・ティク・ザット・アウェイ」という曲がありますけど、どんな歌ですか?
最初は、いろんな意味で私をガッカリさせてしまうような人たちのことを歌おうという気持ちがあったの。
パパラッチとか、噂にうるさいマスコミの人たちのこと?
そんな感じね(笑)。でも、それと同時に子供のころの自分のことも考えていたの。7年生(中学1年)のころ、学校では私はのけ者だった。混血(アイルランド系白人、スペイン系ベネズエラ人、アフリカ系アメリカ人の)だったから、白人のグループにも黒人のグループにも入れなくて(ちょっと涙目になって)。最近は、いじめが増えて、学校の襲撃事件とか問題が大きくなっているでしょ?太っているからとか、カッコイイ服を着ていないからといった理由で仲間はずれにされている子供たちのためにも歌いたかった。〝自分に価値がないと思っていても、あなたたちの中には輝くスピリットがあるのだから、それを倍じて生きていくのよ〟〝そういう経験を越えてきた人間のほうが、あとになって成功するのよ〟ということを伝えたかったの。
『RAINBOW』というアルバムタイトルには、どういう意味があるのですか?
いろいろな色の声が出る自分の声を象徴しているし、私の中に流れるさまざまな血のことでもあるの。違った声がハーモニーになってひとつになることで美しい声が生まれるし、いろいろな人種の人がひとつに集うことですばらしいものが生まれる。そういう愛と夢を大切にした願いを込めてつけたわ。
夢ということでは、今のマライアが持っている夢”は何ですか?
(しばらく考えて)とりあえず今夜ちゃんと眠れること(笑)。いろんなことを考えているから眠れないのよ。それ以外だったら、人間の見かけや人種や、そういうことばかり見るのをやめて、お互い、違いを認めてハッピーになれたらいいと思う。
〝自分は自分〟と思えるまでに時間がかかりましたか?
そうね。みんなは私を黒人として見たらいいのか、白人として見たらいいのか、スパニッシュとして見たらいいのか迷っていたし、それに対して私もつらい思いをしてきた。でも、私はその中のひとつでなくちゃいけないわけでなくて、私は私”と思うようになって、それに気づいたことは重要だった。私は長い間、マライアという名前が大嫌いだったけど、だってほかにこんな名前の人はいなかったから・・・・・・。でもおかげで、デビューしてからみんなにすぐに名前を覚えてもらえたし、人と違うことはユニークだということにも気づいた。人と違うことはOKだってね。
自分が一番輝いていると感じるのは、何をしているときですか?
自分が誇れることをしたときね。誇りを持てる歌を歌えたときとか。私は自分に対してすごく批判的だから、ライブで観客からすごくいい反応をもらったときにやっと「うまくいったわ”って感じられるの。『ヒーロー』を歌って観客から大声援を受け、〝これは私の曲、そしてあなたの曲〟と思えたときなど、何かを成し遂げたという満足感と、それに対する誇りの気持ちでいっぱいになる。
それでは、反対に自分でいやだなと思うのはどんなときですか?
そう感じるときは多いわ。人として自分のことが嫌いになるという意味ではなくてね。私もみんなと同じように自分に自がないときがある。たとえば今日なんか、3日も続けて寝ていないから、すごく疲れているし、鏡を見るとひどい顔だと思う。そういうのは堪えられない。鏡は自分のバロメーターだから、いつも鏡に向かって気持ちを整えていたいと思うもの。あと、他人を傷つけるような言葉を言ったりする自分は嫌い。それに近いことをしたあとは、そのことばかり頭に残ってしまい、〝違った意味に取られなかったかしら?〟って、ずーっと気にしてしまう。私はとても繊細なのよ。
あなたはすごい努力家ですが、一方で、運をどうやって自分のものにしているのでしょう?
私は自分で正しいと感じたことをやっているだけ。占いとか肩じないわけではないけど、そういうものが潜在意識に入り込んでしまうと本当に起こってしまいそうな気がするから、耳を貸さないようにしている。運命とか精神世界とか神の存在は言じるから、耳を貸すことと耳に入れないことを区別しているの。
直感を信じているということ?
そうね。誰かから何か言われて、それが自分の潜在意識の中に残っているばかりに、それが本当になることはある。私は小さいころから〝将来はこれをやるんだ!〟って言じてきたから、今、私はここにいる。そのほかの起こるべきことが起こるのは運命。だけど自分が肩じることを本当に起こすには、一生懸命それに向かって努力しなくちゃいけない。母は私にこう言ったわ。『〝もしシンガーになったら〟じゃなくて、〝私がシンガーになったときは〟って言いなさい。私にできるかどうかわからない”じゃなくて、私にはできる”って言いなさい』ってね。私は母の言葉で自分を強く信じるようになったわ。
話は変わりますが、ルイス・ミゲルと大恋愛中という噂ですが・・・・・・。
(うれしそうに笑って)それについては今は話したくないの。まるで官伝みたいになってしまうから。ただ、いま言えるのは、私は現在とても幸せで、自分の人生に対してすごくいい気持ちでいられるという事実。私を理解してくれるほかの人がいると自分で感じていられる。それは本当にすばらしいことだわ。みんなは〝どうなっているの?〟って聞いてくるけど、今はハッピーよ、ということだけ言っておくわ(笑)。
本当にハッピーなんですね。アルバムのジャケット写真を見ると、以前よりもさらにスタイルがよくなっている気がしたのですが、30歳を前にして、年齢とファッションを意識していることはありますか?
デビュー当時はボーカルに注目を集めるために内気な10代の女の子のイメージで売り出したけど、今は、みんな私の声がどんなものかもう知っているから、どんなスタイルでもできる。大人になったからセクシーな格好をしないと、なんて考えずに、いま私は自由だから、そのときに着たいファッションをするだけよ。
セクシーとキュートの使い分けみたいなことはしているんですか?
私がどんなファッションをしても、それは自然に生まれてきたもの。写真を見て、純粋さがその中にあったとしても、セクシーさがあったとしても、どちらも私の姿なの。長い間、イメージに強制されてきた部分はあったけど、(離婚した)今は違う。私にとってのれのアイドルはマリリン・モンローで、彼女は何歳になっても子供のような無垢さと白気が共存して、純粋さと同時にセクシーさも輝いていた。私は決して革で全身を包んでムチを持つようなスタイルはしない。私の中にそんな要素はないから(笑)。でも、セクシーで楽しいファッションや純粋なイメージは、私の中にあるものだからOKよ。