今世紀最後の歌姫と絶賛されているマライア・キャリー。新作『ディドリーム』からのシングル「ファンタジー」が、全米ビルボードのポップおよびR&Bの両チャートでいきなり初登場で第1位に輝くなど、相変わらず話題に事かない活躍を見せてくれている。25歳とは思えないスーパースターぶりだ。そして、10月10日にニューヨークの”マジンン・スクエア・ガーデン”で行われたテレビの公開収録コンサートには、子供から大人まで人種を問わない多数のファンが集まり、人気の層の厚さを実感させてくれた。
以前はシンデレラ・ガールのような扱われ方をされてきたためか、内気で言葉少なに答える取材が目立った。しかし、プロデューサーとしても認められてきた最近は、努力と自信に裏づけされているのか、今回インタビューに応じてくれたマライアは雲の上の人といった感じではなく、笑顔が似合う気さくな女性であり、終始積極的に答えてくれた。
まず、ニュー・アルバムのタイトルを『デイドリーム』にしたのには、何か特別な意味があるのですか?
『デイドリーム』と呼んだのは、自分でアルバムを聴き直したときに、夢を見ているような、やわらかい空気のようなフィーリングを感じたから。それに「ファンタジー」の中に“昼夢の中、深くに"という歌詞があって、アドリブで歌い回していたら、私にできるのは白昼夢を見ることだけ”というような歌詞が出てきたりして・・・・・・・。そんなこともあって、アルバム全体の雰囲気にこの言葉がとても合っているように思えたからよ。
結婚される前にレコーディングしたアルバム『ミュージック・ボックス』のころから、歌詞のメッセージがポジティブになったように感じますが、自分ではどう思いますか?
必ずしもそういうわけではないと思うわ。アルバム『ディドリーム』にはいろいろな雰囲気や感情が存在しているから。もちろん、それが曲に合っていると思えば、常にポジティブなメッセージを持たせるようにはしているわ。そういったことをリスナーに伝えるのは大切なことだと私は言じているから。
なかでも大ヒットした「ヒーロー」はリスナーに勇気を与える曲ですが、あなたが自分の中にヒーローを見つけたのはいつごろですか?
あの曲は、自分が自分自身のヒーローとなり、どんな出来事をも乗り切る強さを持つ、という内容の曲なのよ。それは、これまでの一生を通して、私がずっと探し求めていることだわ。私のこれまでの人生の中で、常に私をサポートしてくれたのは母だったの。「自分を、じれば、必ず何かを成し遂げられる。あきらめてはいけない」と、いつも母は私に言ってくれたわ。生きていくうえでつらいこともいろいろと経験したけど、いつもそんな母親の言葉に私は勇気づけられてきた。あの曲のメッセージはそういうことよ。
ヒーロー」は、マライアが援助しているフレッシュ・エア基金(ニューヨークの都市部で貧困にあえぐ子供に田舎で過ごす夏休みをプレゼントするもの)で、職業体験キャンプ(別名〝キャンプ・マライア〟)のお別れのときにみんなで歌うテーマソングになっていますよね。あなたは、キャンプの子供たちに、どんなメッセージを伝えたいと思っていますか?
基本的には、強く願い、努力し、正しい道に進みさえすれば、人間は誰だってなりたいものになれるということ。このキャンプに参加することで、子供は少なくとも危険から身を守り、選択権を得られる。ほかに選ぶ道がないのではなく、選ぶ道を与えられるわけ。世界に対してひとつの見方ではなく、別の角度から見ることができるようになるということね。
〝キャンプ・マライア〟はマンハッタンから車で1時間半のフィッシュキルで行なわれている。コンピュータやビデオカメラといった設備があり、子供たちが将来の職業へ関心が深められるようになっているほか釣りやボート、バーベキューも楽しめる環境になっていて、マライアも夏の間、幾度もここを訪れて一緒に楽しい時間を過ごしている。マライアがこういった社会活動や子供たちの将来に強い関心を寄せているのも、彼女自身、母子家庭に育ったことに起因しているのだろう。
さて、歌うことは小さいころから人生の大きな位置を占めてきたそうですが、歌という表現手段はあなたにどんな力を与えてくれました?
すべての音楽にインスピレーションを与えられたし、子供のころから悲しいことがあったりすると、いつでも歌を歌っていたわ。そうすると悩みを乗り越えられる気がしたの。特定の一曲は挙げられないけれど、歌うときの気持ち、歌う行為、そして音楽の近くにいるという思いが私を強くしてくれたんだと思う。
エンターテインメントとは、あなたにとって何を意味しますか?
心を動かされ、快感を与えられ、すべてを忘れてしまうようなこと。
ご主人のトミー・モトーラは、あなたが所属するレコード会社の社長であり、あなたの音楽の最大の理解者だと思いますが、気持ちとしてパートナー、夫、親友のどれに一番近い存在なのでしょう?
そのすべてよ(笑)。
結婚して、音楽、もしくはものの見方が変わったと思いますか?
いえ。というのも、私にとって音楽は別のところから生まれてくるものだから。今は愛する人がいて、そのことを心から幸せに思っているというだけで、人間的にも全然変わっていないわ。
あなだにとって理想の女性とはどんな女性なのでしょうか?
理想の女性なんて、いないんじゃないかしら?何よりも、自分らしくいるということが第一よ。自分に正直に生きる、自分という人間に満足する。男性の力を借りて生きようとか、パートナーの男性がいなかったら自分が認められないというのではなく、自分自身がまずいて、そのうえでいい関係を築くということね。
あなたは、なにかとファッションのほうも注目されていますが、最近よく見られる、腰に〝ベリーチエーン〟というチェーンを巻くようになったのはいつごろからですか?
笑)。以前は、チェーンに指輪やお守りや十字架をつけてネックレスにしていたの。どんなときもはずすのがイヤだったから、胸元が開いた服を着ているときとか、ネックレスが見えるのがイヤなとき、腰に巻いていたのよ。案外キュートで気に入ったので、何もついてないプレーンなチェーンを買って、腰に巻くようになったというわけ。
ファッションに関して特に気にかけていることはありますか?
流行だからという理由だけで、服を追いかけないようにはしているわ。何年かたってみたら、当時の自分のファッションが嫌いだった、というようなことにはしたくはないの。だから、いつもシンプルで自分らしさが引き立つようなファッションを心がけているわ。それから最近ではデザイナーと会ったり、フアッション・ショーに行ってトレンドを観察し、自分なりに着こなすこともできるようになってきた。結局、流行って、同じ要素が数年周期で、巡ってくるだけでしょ。一番大切なのは、自分に何が一番似合うかを知り、自分に合った形で冒険することだと思うわ。私は自分の体型をうまく引き立たせてくれる服の形をわかっているから、それを守るようにしているの。
最近のマライアのお気に入りはグッチ。先日のコンサートでもグッチの新しいデザインのベルトをしていたし、ベリーチェーンにしても、そう。洋服のモッズ風のデザインも気に入っているそうだ。マライアのマネジメント・オフィスを訪ねた関係者によれば、グッチの箱があちこちに高く積み上げられていたらしい。
成が上手なうえに、美人で、女性から憧れのマトになっているあなたですが、きれいな肌を保つために、何か特別なことをしていますか?派手に着飾っている女性シンガーが多い中で、ファッションもメイクも意外とシンプルですよね。
昔からニキビに悩まされたことは一度もなかったんだけど、こういう仕事を突然するようになって、化粧をするようになったでしょ?私、化粧は大っ嫌いなの。目のメイクはいいんだけど、顔に何かを塗るということが嫌いなのね。だからいつもマイルドなクレンザーで、きれいにメイクを落とすようにしているわ。私の肌はいやになるくらいの敏感肌で、結婚衣装のフィッティングのときも、ドレスを脱いだら体じゅうが真っ赤になっていたくらい。ものに触れただけでかぶれてしまう、赤ちゃん肌とでもいうのかしら(笑)。ミネラル・オイルにもアレルギーみたい。とにかく、いつも洗顔と睡眠には気を遣っているわ。
今、一番夢中になっていることは何ですか?
私は遊園地が大好きで、「ファンタジー」のビデオ・クリップにローラーコースターのシーンを入れたのも、そういう理由からなの。日本にも遊園地や楽しめるローラーコースターはある?大きくて怖いローラーコースターが私の趣味なのよ。あとは、水上スキーとスキーを最近始めたわ。ペットも大好き。つい最近、私が小学校3年生のときから飼っていたネコを母の家から引き取ったの。もう14歳くらいだからすっかりおじいちゃんネコなんだけど、うちのネコが世界で一番の動物よ。もう大好きでたまらないのよ(笑)。
CDのブックレットやビデオに登場する犬もマライアの犬なの?
ジャックのこと?そうよ。写真に登場させるのは犬だけなの(笑)。
料理はしますか?
トミーがするわ。彼の料理の腕は最高だから、私はとってもかなわない。でも、たまにお菓子作りはする。寒いときとか、外に出られなくて退屈なときにはケーキやマフィンを焼くの。でも、めったにしないのよ、本当は(笑)。
トミー・モトーラと実際に話したところ、二人の豪邸にはレストラン規模の本格的な厨房があり、トミーはそこでイタリア料理やフランス料理に腕をふるっているそう。マライアは料理をするよりも、料理を盛りつける食器を彼の横で選ぶほうが得意だそうだ。
最後に、人生における成功とはあなたにとって何をさしますか?人生のモットーはありますか?
今の私は、幼いころからの夢を実現できたわけだから幸運に恵まれているとしかいいようがないわ。もちろん、私も人間だから悩んだり、落ち込むこともあるけれど、そんなときは心を落ち着かせ、自分はこんなに多くのものを手にしているじゃない、と、感謝の気持ちを改めて抱くようにしているわ。そして、どんな環境でも状況でも変わらない、心の平静をいつも保っていられるように心がけるの。子供のころのこともきちんと忘れないでいたいし、友人のことも、そう。今の自分があることを感謝しながら生きていきたいといつも思っている。