今年のクリスマス・シーズンをとびきり楽しく、キュートに、切なく演出してくれるクリスマスアルバムといえば!もう、これで決まりでしょう。マライア・キャリー、初のクリスマスアルバム『メリー・クリスマス』。シングル「恋人たちのクリスマス」はもちろんのこと、クリスマスが大好きというマライアが思い入れたっぷりに歌い上げたオリジナルとカバー曲の数々は、来年からもずっと”冬の必需品”になること間違いなし。というわけで、ニューヨ1クのスタジオで、新作のレコーデイング中というマライアの最新インタビューです。
クリスマスアルバムを作ることは以前からの夢だったとか。
そう。毎年クリスマスが近づくとワクワクするし、ラジオからクリスマスソングが流れてくると、いつも一緒に歌っちゃうし(笑)。私、お祭りっぽいことが大好きなの。だから、いつかはクリスマスアルバムを作りたいっていっていたのね。クリスマスソングは、ここ数年で少しずつ書きためていたの。それで去年のクリスマス前、「恋人たちのクリスマス」と「ミス・ユー・モースト(アット・クリスマス・タイム)」を書いたときに、そろそろ1枚のアルバムにまとめてみようかってことになったの。
クリスマスアルバムを作ることは、アーチストにとって名誉なことといわれていますが。
すごくエキサイトしてるわ。名誉なんてことより、自分が大好きなクリスマス・シーズンのためのアルバムが作れたことがうれしいの。いつかはクリスマスアルバムを作るっていってたんだけど、それが思ったより早い時期に実現したって感じだしね。いちばん好きなクリスマスに、今年からは大好きないろんなクリスマスソングと一緒に自分のクリスマスソングも聴けるんだもの。それって素敵じゃない?
小さいころは、どんなふうにクリスマスを過ごしたのですか。
母がとっても楽しく演出してくれたわ。クリスマスツリーを飾って、パーティをして。一緒にキヤロルを歌ってくれたり、小さなプレゼントをいっぱい包んで「ワンちやんより」とか「ニャンちゃんより」と書いて贈ってくれたり。私のクリスマス・スピリットは、そういう子供時代の思い出からきてると思うわ。
いまでもクリスマスは好き?
もちろん。ハロウィン(10月31日)の翌日からクリスマスの準備をはじめるの。いまでもクリスマスがくると子供のようになってしまう。好きな季節は夏なんだけど、夏が終わると早くクリスマスにならないかな”って思っちゃう(笑)。
クリスマスを楽しんでいる気分が、アルバムにも大いに反映されていますね。
レコーディングや曲作りは、去年のクリスマス時期からはじめたんだけど、それもラッキーだったと思うわ。クリスマス時期のムードや環境がバッチリ整ったなかで書けたわけだから。7月の半ばごろにクリスマスソングを書かなきゃならない人もいるみたいだけど、私の場合は本物のツリーや雪やクリスマスプレゼントがあるなかで書けたんだもの。夜遅く、家で書いていたことが多かったのね。暖炉に火があって、クリスマス・ライトが光ってて・・。そんななかにひとりで座って、クリスマスの思い出にひたりながら曲を作ったの。
なるほど、クリスマスアルバムの制作がとりわけ楽しい作業だったわけですね。
いつものオリジナルアルバムを作っているときには、けっこうシリアスになってしまうことが多かったんだけど、今回は本当に楽しく作れたわ。もちろんシリアスな曲は入っているけれど、4歳でも80歳でも歌えるような楽しい曲がいっぱい入っているし。去年のクリスマスあたりからレコーディングをはじめて、その後も気分を出すために、一年中スタジオのなかにクリスマスの飾りつけをしていたのよ。まるで世界でいちばん長いクリスマスを過ごしているような気持ちだったわ。
収録曲についての話を聞かせてください。カバーした曲は、どういう基準で選んだんですか。
いろいろな人と話し合って決めたんだけど、けっこう微妙な線で難しかったわね(笑)。大好きなクリスマスソングはたくさんあるし、名曲も多いから。クリスマス・シーズンにみんなが歌いたくなるような曲で、私が歌いたい範囲にある曲を選ぶ努力をしたわ。このアルバムで「赤鼻のトナカイ」を歌うのは、ちょっと気が引けたしね(笑)。そういう意味で選曲はかなり慎重だったわ。
「クリスマス(ベイビー・プリーズ・カム・ホーム)」と、このアルバムでのスタイルの「サンタが街にやってくる」は、フィル・スペクタ1のクリスマスアルバムに入っているものですよね。
フィル・スペクターのクリスマスアルバムは最高の1枚だと思う。あのアルバムは、今回のプロダクションに大きな影響を与えていると思うわ。「恋人たちのクリスマス」も、古い曲を90年代にやっているようなレトロ・フィーリングを出したかったしね。「クリスマス(ベイビー・プリーズ・カム・ホーム)」は、この2年くらいクリスマスになるとドライブをしながらよく歌っていた曲だから、レコーディングしたかった..という理由で入れたんだけど。
オリジナル曲を書く作業も、いつもとは違った気持ちでしたか。
そうね。いつも書いている曲とは、まったく異なる発想から生まれてくるものだった。
「ジーザス・ボーン・オン・ザ・ディ」は、賛美歌のようなスピリチュアルな印象の強い曲ですね。
あの曲は、ポップソングとは対極にあるトラディショナルな賛美歌を書くような感じで作りはじめたの。自分の能力を引き伸ばして、よりシリアスな、よりスピリチュアルな、より宗教的なものへの挑戦。バックシンガーとして参加してくれた子供たちとの仕事は楽しかったわ。私の甥や姪が参加しているのよ。あの曲はいい体験だったし、私としては異色な作品になったので誇りに思っているわ。
アメリカ盤には入っていないボーナストラック「ゴッド・レスト・イエ・メリー、ジェントルメン」は、コーラスが印象的ですね。
あれは私の声だけでバックも全部やっているの。いままでも自分の声だけでバックコーラスをつけた曲はあるけど、アカペラは初の試みだったわ。ほかのミュージシャンやシンガーを従えて歌うのとは違って、自分自身と溶け合っていくという体験ができたのは面白かったわ。
「恋人たちのクリスマス」のビデオクリップでは、すごく楽しそうな表情をしていますね。
あのビデオは、クリスマス時期に撮影されたの。だから、実際のクリスマス気分と重なり合って本当に楽しかった。雪で遊ぶのは好きだし、サンタや犬と遊んだり、本物のトナカイを見てビックリしたり。撮影中は、基本的に私はずっとバカみたいに遊んでいただけ(笑)。ただ、唯一つらかったのはアルバム・ジャケットの撮影をしたとき。本当に吹雪がきていたのに、あんな薄着でニッコリしなくちゃいけなかったのはつらかったわ(笑)。
ところで、いまはもう新しいアルバムのレコーディングに取りかかっているそうですね。どんな作品になりそうですか。
これから歌詞をつける作業に入るんだけど、すごくハッピーでエキサイティングなレコーディングが続いているわ。サウンドは、本当に私が聴きたいって思う感じのものなの。私がいまいちばん聴いているヒップホップ系の・まるでストリート・ループのような土台の上に、ポップソング/R&Bを乗せたって感じ。いままでよりずっとストリート・オリエンテッドなプロデューサーと組んでいるの。そっちの方向性に、いまはすごく興味があるわ。新しい側面をいっぱい見てもらえるんじゃないかと思う。こんなふうに、新しいことをどんどんやりたい!"って心がはやっているのは、1stアルバム以来のことじゃないかしら。
次々とアルバムを発表して、デビュー以来ずっと超多忙な活動が続いていますよね。少しは休ませて!と思うことは?
それはもう、いつも思っているわ!・・・なんてね(笑)。90年に1stアルバムを出してからずっと働き通しだから、確かに時間的には忙しいけれど、アルバムを作りたい気持ちでいっぱいだから、〝楽しくない〟とか〝やりたくない〟なんてことは全然思ってないわ。とくにいまは、楽しくて楽しくてしょうがないの。