マライア・キャリーが待望の来日をしたのは、10月9日午後4時半だった。彼女が乗ったJAL005便が着く頃には、女性を中心としたファン、2~30人が集まっていた。中には男性ファンが混じっているのは、美人シンガーならではのことでしょう。
サングラスをかけたマライアが出てくると、ワァーッという声と共に、ファンが彼女を取り囲む。そのまま待たせてあったリムジンで都内某赤坂プリンスへ。
マライアのメイクは、ブラウンが基調。まずファンデーションは、レブロンのオークル系をベースに、ディオールのパウダーをスポンジではたく。ルージュは、アメリ力のプロ・メイクが誰もが使うというマックというカナダのブランドを使用。ブラウン・ピンクという色が中心。クレンジングは、ニュートロジーナのクレンジング・ローションで落としている。メークを担当しているビリー君によると、マライアの肌は日本人にごく近いオークル系であるとのこと。
マライアのプロモーション・ツアーに同行しているビリー、シド、バーシアの3人(ガールズ”と総称されている。)と、マライア、付き人のカレンの間でよく使われている表現が、“That's appropriate” という言葉で、適当とかふさわしい。”という意味。
「ニュース・ステーション」で、久米さんが“僕なんかブランデーを飲む。”と言った時、マライア、“That's appropriate, too” と笑ってましたつけ。
日本へ来る前、ヨーロッパでプロモーションをしていたマライア、イタリアのミラノで風邪を拾ってしまつた。一度アメリカへ戻り、日本へ来たが、来日した時は、調子が悪いままで、ハチミツ入りの紅茶をひたすら飲みつつ、リコーラというのどあめをなめ、部屋にこもっていた。おかげで後半すっかりもち直した模様。帰る頃には、すっかり元気になってました。(遅いって!)
そういう事情で、外出は少なかったマライア。テレ朝「ニュース・ステーション」の収録の合い間に、全日空ホテルのレストランでチャイニーズ・ディナー。カリフォルニア産の赤ワインを片手に、春巻き、季節の野菜の炒めもの、海老の天ぷら甘酢がけ、ロブスターの炒めものを食べた。
その時、同行した日本人スタッフに “春巻おいしいわいかが?”と、気を使いつ放し。やつぱ苦労人は違うなって感じ。普段はホテルですませていたので、久しぶりの外食でした。ちなみにホテルで何を食べてるかというと、ニューヨークから持ってきたフレッシュ・パスタ。それを持ち込んだ電磁器で調理し、マカロニ・チーズなどを作って食べてました。
寝る前に、決まって口にするのは、ルイ・ロデレール社の、かの名酒「クリスタル」。高級なシャンパンの中でも、また高級な名品なんともゴージャスね。
1日には、ソニー本社の大庭社長夫妻が赤坂プリンスを訪れ、マライアと会食しました。ソフト部門の社長ならともかく、ハード・ウェアのソニー本社の社長がわざわざ訪れるのは、異例中の異例。やっぱ、ソニー・アメリ力社長夫人の威光でしょうか?
木曜の午後、マライアはやっとのことで外出した。夫のモトーラ氏が、“日本に行ったら神戸ビーフ!”と言ったそうで、食べたいとしきりに言っていたが、残念ながら時間切れで、次回に持ちこし。
渋谷の街で、109.2の大スクリーンに映し出された MDのコマーシャル(矢印に立つマライア編)を、偶然見て、キャーキャー声をあげて、喜んでいた。
その後、HMV 渋谷で、ツェッペリンのボックス・セットやスティーヴィ・ワンダーのベストなどを買い込んだが、突然訪れた本物のマライアに、店内騒然。ペンを差し出すファンに、気軽にサインをしていた。(今行くと、マライアのサインが展示してあります。)最近のマライアは、ヒップ・ホップ系もよく聴いてる様子で、フォト・セッション中や、移動中の車の中では、自分で選曲したオムニバス・テープをかけてました。幅広い好みで、カントリー以外なら、守備範囲だそうです。
全ての仕事が終わった木曜の午後は、深夜過ぎから六本木にくり出し、DICEとエロスで、しばしリラックス。
最近の六本木は、週末以外はさみし~いって感じですが、人が集まってるクラブを捜し出し、日本のクラブ・シーンを体験してもらいました。
公の目にさらされるということに対して、マライア自身の意識は非常に高く、いつ、どの瞬間写真を撮られても大丈夫なように、準備しています・・・つまり、好きなんですね、こういうの。
ファッション的にも常にモードを追うことを心掛けており、「ELLE」や「VOGUE」をよく見ています。で、“これからはミニが復活するみたいよ。”と、スタイリストに教えてもらってたので、今まで好んで着ていた、スリット入りのロング・スカートや、70年代風のパンツから、多少方向転換されるんじゃないでしょうか?ちなみに、彼女が持ってきた衣装の70%がブラック系で、ロメオ・ジリやコム・デ・ギヤルソンなど。グレー、ブラウン、ネイビー・ブルーなどでした。持ち歩いていたバッグは、シャネルです。
15日の朝、マライアは帰国しましたが、帰国便の中で食べたいと、青山サバティーニから、トマト&バジル・ソースのパスタと、モッツアレラ・チーズ&トマト、グリルド・チキンをテイク・アウトしていきました。“時間のたったパスタなんて・・・!”と渋い顔をするサバティー二さん、無理をきいてくれてありがとう。
マライアと夫君、トミー・モトーラ氏が暮らすのは、マンハッタンにある豪華アパートメント。そして週末は、ニューヨーク州アルバニーに程近い所に位置する別荘で過ごします。同じニューヨーク州とはいえ、アメリカのことですから、ざっと車で3~4時間かかる所ですが、モトーラ氏、かなりのスピード狂(!?)。車を飛ばし、1時間半で着いてしまう。愛車はレンジ・ローバー。(ジープみたいなタイプで、馬力がある。)
その別荘には、わざわざ掘って作った人工池があったり、馬5頭と馬場がある、想像を絶する広さらしい。
マンハッタンに居る時は、114thと1stアヴァニューにあるイタリア料理店、レオズという店へよく行く。この店、知る人ぞ知るイタリア家庭料理の名店で、年中クリスマスといった雰囲気。それだけに、半年先の予約まで入ってる超人気店。しかし、マライアだけは、いつでも好きな時に行けちゃう。だって店には、モトーラ氏用のテーブルがあるんだもーん。
日本から帰つたマライアは、しばし休養をとつた後、マサチューセッツで、ツアーのリハーサルに入る予定。そしていよいよマライア初のツアーが、11月3日、を皮切りに始まる。
マライア滞在中、新婚モトーラ氏へのラヴ・コールのせいか、電話代がかなりついてたそうだ。
富山県の✕✕放送から来ました✕✕と言います。日本を含めたワールド・ツアーは、予定されているんでしょうか?
ええちょうど始まるところよ。あたしにとって初めてのツアーなんで、最初はアメリカ国内を廻ることにしたの。11月3日のマイアミから始まって、まずは国内の主要都市を廻る予定ですが、できれば続けてその他の都市でもと思っています。いずれは日本へ来て、いつも応援してくださってる日本のファンの皆さんの前で、コンサートをやりたいですね。
ツアーでの演奏曲目は、今迄出した3枚のアルバムから選ばれると思いますが、アルバムごとの比重は、どうなりますか?
基本的には、今迄出したシングルの曲は全部歌うつもりだわ、それ以外にも、リミックスした曲や、ファーストやセカンド・アルバムの為にレコーディングしながら、未発表になってた曲も入れるつもりなの。ですからコンサートでは、これまでにリリースした 3枚のアルバムからまんべんなく選んで、その他に、好きな曲だけど、発表するチャンスがなかった曲も、歌うつもりです。
こういう場でお願いするべきじゃないんでしょうが、番組用にメッセージをお願いします。(場内騒然)で、最後に富山弁で“たのんますちゃ!”と入れて欲しいんですが。(場内爆笑)
(笑いながら練習したあとに・・・)アクセントが悪くても、笑わないでネ。“Hi!This is Mariah Carey, you're listening to....ヨロシクタノンマシカ!(場内大拍手)司会者:私も頭の中がまっしろになっちゃいまして…・・・言葉を失なったまま、忙然と立っておりました。続けてうちもコメントを・・・なんてことは、絶対やめてくださいね。(後で、“言ったもん勝ちだ!”とは、某富山の質問者。つっつよい!)
マライアさんはデビューして即、ヒットしてしまったんで、ルーツとか、文化的な背景がはっきり発表されてないんですが、今、教えていただけますか?
生まれた時から、いつも音楽に囲まれて育ったわ。というのも、母がオペラ歌手だったからなの。母は、オペラに限らず、ジャズを初めとして、色んなジャンルの曲を歌ってたの。それに、あたしには10歳以上年の離れた兄と姉がいて、二人はよく、スティーヴィ・ワンダーやアレサ・フランクリン、ミニー・リパートなど、流行りの曲なら何でも、歌ったり、弾いたりしていたんです。大抵はR&Bだったから、あたしが一番影響を受けたのも、R&Bなのね。
もう少し大きくなってからは、アレサ・フランクリンがゴスペルのレコードを出してるのを見つけてそれを買い、他にもお気に入りのアーチストのレコードを買ったりして、ゴスペルを聴くようになったの。クラーク・シスターズやバネッサ・ビル・アームストロングなどのゴスペル・シンガーの曲を聴き始めたのも、その頃です。ゴスペルにもずいぶん影響を受けたわね。
お父さんはどういう方なんですか?
司会者:その件につきましては、後ほど説明します。
御主人、トミー・モトーラ氏は、ソニー・アメリカの社長ですが、あなたの作るミュージックに、感想とか言われますか?
主人のトミーは、元々シンガーだったから、音楽というものを、とてもよくわかってる人なんです。かなり昔のこととはいえ、エピックと契約して、レコードも出してるし、バンドを組んでたこともあるのよ。ビジネスしかわからない人と違って、音楽もよくわかっているので、そういった意味でも、トミーの存在は、私にとてもプラスになっています。音楽に関しては、私に関わらず、レーベルに所属しているどのアーチストにとっても同じだと思うわ。ビジネス上の戦略ばかりじゃなくて、きちんとした音楽的な意見を持っていますから。・・・彼は、私が意見を求めれば、自分の正直な意見や感想を言ってくれますが、それはうちのレーベルのどのアーチストに対しても同じことです。私が訊かなければ特に何も言いませんし。
彼の正直な意見のせいで、ケンカになりませんか?
音楽に対する意見の食い違いから、私たち夫婦が喧嘩をするかですって?この件にずいぶん拘るのね。主人がうちのレーベルの他のアーチストと意見が食い違うことがあるように、私たちにだってそういうことはあるわ。でも、さっきも言ったように、主人は音楽というものをとても良くわかっている人ですから、ためになる意見を言ってくれることがほとんどなの。ですから、うちのレーベルの他のアーチストの場合と同じで、私がスタジオでレコーディングすると、それを彼が聴いて、いろいろとコメントしてくれるんです。でも、それで喧嘩になったことはないわよ。
初期のアルバムは少女っぽい感じでしたが、「ミュージック・ボックス」ではリアリティがありますね。
自分ではアルバムの内容が大きく変わったとは思ってないわ。最新盤もやっぱり私が大きな影響を受けたR&Bを中心にしたアルバムになっていますし、R&Bは今でも私の一部なんです。でも一つ、大きな変化があるとすれば、それは最初のアルバムに入ってる曲のほとんどが私が高校生のときにかいた曲だからじゃないかしら。人は時が経てば変わるものだし、私も少しは成長しましたから。(笑)
じゃ、内容的な変化はなかった。そう言っていいんですか?
違いはおおいにあります。ファースト・アルバムを出した当時との一番大きな違いは、今では自分で共同プロデュースも手掛けるようになったということね。ファースト・アルバムには、ベテランの大物プロデューサーが大勢関わってくれましたから、的確な音作りにはなっていると思います。でも、最近では、私以外の人が私の音楽をいじって、その人の考えでこうあるべきだという音作りをする代わりに、私の意見が反映される部分が増えてきたわけです。私自身の考えで音作りをしている。それが大きな違いですね。
今迄に一番つらかったこと、影響されたことを教えて下さい。
前向きな姿勢を訴えていくのは大事なことだと思っています。大人にもそうですけど、特に子供たちに対して前向きな意見をしてくれる人ってなかなかいないでしょう?私の母はとても前向きな考え方の持ち主で、私には小さい頃から「自分を言じなさい」と言ってくれましたし、母が心から励ましてくれたお陰で、私は、長年追い続けてきた夢をこうして実現することができたんです。今の私があるのも、まず何よりも母の励ましがあったからだと思っています。
これまでの人生で取り立てて辛かった出来事というのはないような気もしますが、子供の頃には経済的にあまり裕福ではなく、たいていの子供たちが持っているような物を買ってもらえなかったということはありました。私は母子家庭で育ったので、それは常に辛かったと言えば辛かったのですが、取り立てて辛い時期があったわけじゃありません。17歳で一人暮らしを始めてからは自活していたので、ウェイトレスやホステス、クローク係からTシャツの売り子までありとあらゆることをしてお金を稼ぎました。夜中の1時2時まで働いて、それから木工場の裏手のスタジオ曲、彼女たちの曲をプロデュースするなりしてバックアップしてあげたいですね。彼女たちはとても才能がありますから。
来日公演をしていない大物というと、マライアとマイケル・ボルトンが浮かびますが、彼とデュエットした時のことを、憶えていますか?
ええ、マイケル・ボルトンとはステージでデュエットしたことがあります。3年半ぐらい前じゃなかったかしら。彼はとても感じのいい人でしたけど、私はまだ、ステージで歌を歌い始めて間もない頃だったので、ひどくあがってしまって、その時のことはあまりよく覚えていないんです。
成功したシンガーとして、多忙な生活をしていらっしゃるとは思いますが、家事を自分でやりますか?(途端に付き人の「ガールズ」が、ウヒヒ!あはは!と大笑い。マライアも苦笑)
結婚したからといって、女性が必ずしも家に閉じ籠って家事に縛られてばかりいることはないと思います。その方が私にも都合がいいんです。掃除がほんとに苦手だから。忙しい身なので、今は家事を手伝ってくれる人がいてとても助かります。暇な時には時々私もオーブン料理なんかを作ったりしますが、実は主人がとても料理上手なんです。
番幸せなことって、何でしたか?
今までで一番幸せな出来事と言っても、短い間にあんまりたくさんのことが起こったので、仕事の面でも私生活の面でも一つに絞るのは難しいわね。歌手としてこれだけの実績を築いてきたこと、デビューしてからのいろいろな出来事、そして結婚、どれも私にとっては素晴らしい出来事だわ。(ストローでコーラを飲む。)
こうして話してる声はハスキーですね。何でもフオクターブの声が出るそうですが、のどのために何かをしてますか?あと、趣味は何ですか?
本当に7オクターブの声がでるのかどうか自分ではわからないんですけど。私、自分の音域ってはっきり知らないんですよ。よく訊かれるけれど測ったことがないのでわからないんです。どこまで声が出るかいつも試しているので、音域がどのくらいか正確なところはわかりません。話し声は低いんです。元々は歌う時の声も低いんだと思います。低音域の方が声が楽に出ますから。でも、どこまで高い声が出るか試してみるのも好きなんです。まあ、風邪をひくこともありますし・・・・。
趣味に関しては、動物をたくさん飼ってることかしら・・・イヌが3匹、ネコが2匹、ウマが5頭います。暇をみては馬に乗るのが楽しみです。泳いだり、遊園地でジェット・コースターに乗ったりするのも好きです。オフの日には友達と一緒にジェット・コースターに乗ってワイワイ騒いだりするのが好きね。
成功しなくても、歌うことは続けてると思いますか?
アルバイトを続けながら曲をかいてたと思います。歌手になる夢を捨てたりはしなかったでしょう。ごく短期間で夢が実現したので簡単にこんなことが言えるのかも知れませんが。でも、決して諦めるとは思えません。どんなに長い年月がかかろうとも、夢を捨てずに努力を続けているはずです。
アメリカでは、音楽をコンピューター打ち込みするのが流行してますが、あなたはどう思いますか?
音楽にハイ・テクやコンピューターを導入するのはよくないという考え方があって、そういう風に思っている人は結構いますし、その気持ちは私にも理解できます。言うのも、本来の動機を見失い、そもそもなぜ曲を作りたかったのかという気持ちを忘れてしまうことがままあるからです。でも、スタジオでレコーディングする際にハイ・テク機器があるととても助かる面もあるんです。たとえば、オーケストラのメンバー全員を集める代わりに、たった一台のシンセサイザーを操作するだけで、オーケストラの全楽器の音が出せるんですから。フル・オーケストラを揃えるだけの経済的余裕のないミュージシャンもいるでしょう。ですからハイ・テクやコンピューターが導入されるととても助かる面もありますし、便利になると思います。でも、だからと言って音作りを完全にコンピューター化すべきだとは思いません。私の曲にはアコースティック楽器とハイ・テクの両方をうまく組み合わせていきたいですね。アンプラグド・アルバムを作ったことがありますけどとても楽しい経験でした。アコースティック楽器しか使わないために、私の曲がまた違った趣をもったものに生まれ変わったように感じました。でも、私にとってハイ・テクは敵ではありません。
今度米三大ネットワークのひとつ、NBCで、マライアの特別番組が放送されるそうですが、どういう内容ですか?
NBC スペシャルで放映されるのは、ニューヨーク州の北部でのコンサートの模様を収録したものです。コンサートを始めて間もない頃で、とても楽しかったのを覚えています。楽屋の様子や、自宅でスタッフと寛いでいるところ、それからもちろんライブの模様も流れます。ですからこの番組では、今まで皆さんの目に触れることのなかった私の素顔をご紹介できると思って、今からとても楽しみにしています。ビデオでも発売されますが、ビデオ版にはテレビで放映されない映像も入る予定です。テレビ版にはないビデオ・クリップや、番組でカットした映像なんかを追加することになってるわ。
司会者:では、写真撮影に入ります。(マライア、司会者の声にピクッとして、化粧直しをしたい・・・と言う。)